「今シーズンは間に合わないから、来年から本格的に」
「準備はまだだけど、とりあえず今年受けてみよう」
どちらも、よく聞く考え方です。でも、どちらを選んでも「1シーズンを逃す」ことになりかねません。
そのとき何を、どれだけ失うのか。まずは、1回の渡航にかかるお金から見てみましょう。
留学中の人へあなたは、いちばん安く受けられる立場です →日本から1回渡航すると、いくらかかる?
合同オーディションを受けるか(A)、オープンやプライベートオーディションで各団を回るか(B)で変わります。航空券は1回分です。
オープンオーディション=団体が日程を決めて行う公募、プライベートオーディション=招待を受けて団のクラスに参加する形。金額は下の「今シーズンの数字」をもとにした目安です。
- 為替
- 1ユーロ=約176円
- 往復の航空券
- 日本⇄ヨーロッパ 約20〜30万円(2月の目安)
- 宿泊
- 1泊 約1.2〜1.8万円
- 合同オーディションの例
- Grand Audition 2027(2027年2月・バルセロナ/アムステルダム)登録料45ユーロ・参加費290ユーロ、申込締切12月15日
- 年齢上限の例
- NDT 2:17〜22歳/チューリッヒ・ジュニアバレエ:17〜21歳
1シーズンを逃す、2つのパターン
渡航費を2回払うことになる
お金は減らず、1年という時間を失う
どちらも、いちばん安い道ではありません。いちばん安く済むのは、今シーズンに間に合うように準備して、1回の渡航で決めることです。
見送ると失う、2つのもの
ダンサーとして踊れる時間は限られています。1年待つことは、プロとして舞台に立てる時間が1年短くなるということでもあります。
ジュニアカンパニーや研修枠には、年齢の上限があるものが多くあります(例:NDT 2は17〜22歳、チューリッヒ・ジュニアバレエは17〜21歳)。1年待つうちに、応募できる枠がなくなることもあります。
「準備不足のまま現地に行って、
実力を出し切れずに終わる」
お金も時間も使っているのに、得られるものが少ない。
だから「行くか、行かないか」より先に「準備が間に合うか」を考えます。
留学中の人は、今がいちばん安く受けられる
留学中のシーズンは、オーディションを受ける条件がいちばんそろっている時期です。帰国してからでは、同じ条件では受けられません。
都市の移動は電車や格安航空で済みます。寮や住まいから日帰りで行ける団体なら、宿泊費もかかりません。
日本から来る人のように、1回の渡航に詰め込む必要がありません。週末や休みを使って、疲れを残さずに受けられます。
日本からの渡航は航空券がかかるうえ、ビザなしでヨーロッパ(シェンゲン圏)に滞在できるのは180日のうち90日まで。その中で、オーディションを回ることになります。
「なんとなく」準備したまま最終学年の本番を迎え、結果が出ないまま卒業して帰国する。
対策卒業する年の本番の4か月前(本番が2月なら10月ごろ)には応募を始められるよう、その前の夏までにCV・写真・動画をそろえておく。
日本からの渡航は、航空券だけで1回20〜30万円。準備不足のまま行って結果が出なければ、これをもう一度払うことになります。見送っても、来年は同じ金額がかかります。
理想は、1回の渡航で、合同・オープン・プライベートを組み合わせて複数のオーディションを回り、その中で契約を獲得すること。そのためには、渡航の前に受けられるオーディションをそろえておく必要があります。
本番の4か月前からでも、間に合う
オーディションの本番が多いのは、例年2〜3月。そこから逆算すると、準備の順番はこうなります。
自分の身長・経歴・踊りのタイプに合うバレエ団をリストにします。同時に、写真とクラス動画を撮影します。
締切の早い団体から順に、オープンオーディションへの申し込みやプライベートの招待のお願いを送ります。合同オーディションの申し込みも、この時期に締め切られるものがあります(今シーズンの例は上の囲み)。
プライベートの招待、オープンオーディションの日程、合同オーディションの結果を並べて、1回の渡航で回れるルートを考えます。足りなければ追加で応募します。
移動日と休む日をはさみ、どの団体でも実力を出しきれる日程で臨みます。
年によっては、募集が例年より早く出ることもあります。応募は早いほど有利です。
よくある失敗と、その対策
受けられるオーディションが少ないまま、とりあえず渡航してしまう
応募は締切の早い団体から始める。プライベートの招待やオープンオーディションの日程が、同じ時期・地域にいくつかそろってから航空券を取る。
移動時間や宿の場所を考えずに、日程を詰め込んでしまう
1日に受けるのは1団体まで。都市を移動する日は、オーディションを入れない。宿は会場まで乗り換えなしで行ける場所に。
到着の翌日が本番で、寝不足や疲れのまま踊ってしまう
本番の前々日までに現地に着く。乗り継ぎの遅れなどに備えて、予備の日を1日つくっておく。
- 締切の早い団体から並べた、あなた専用のバレエ団リスト
- すぐ送れるCV・オーディションビデオの作成と編集
- 団ごとの応募メール作成と、受けるオーディションに合わせた渡航ルートの相談(プリンシパルプランは応募の代理送信まで)
まとめ
- 日本から1回渡航すると、約34〜71万円。準備不足のまま行って結果が出なければ、来年もう一度かかり、2回払うことになる
- 見送っても渡航費は安くならない。失うのは1年という時間と、年齢の上限がある応募枠
- 留学中の人は、航空券の約20〜30万円がかからない今がいちばん安い。帰国してからでは同じ条件では受けられない
- 本番は例年2〜3月。本番の4か月前から準備を始めれば、そのシーズンに間に合う


